「突然舞い降りたメッセージ」 連載日下弘、の前口上(一)
twitter上に、「以前の創元推理文庫の装幀・カバーをひたすら紹介していく」という、創元推理文庫旧装丁bot(@OldSogenBot)を始めてから、既に5年が過ぎた。
その間、たくさんの方にbotを見ていただき、twitter上でのやりとりをすることもできた。中には、twitterを離れた場でやりとりをさせてもらったこともある(改めて感謝申し上げます)。
さてこのbotを始めた頃から期待し、しかし叶わないままだったことがいくつかある。
その筆頭が、 「創元推理文庫の装丁を手がけた作家について、特にあまり記録が見つからない人について、誰かが良い情報を教えてくれる」 というものであった。
店(見世)を開けておけば、いつか、そんなお客さんが飛び込んでこないとも限らない。 そんな心許ない態度ではあったのだが、内心では「いつかは!」と強く願っていたのだ。
ミステリファンを楽しませた、往年の優れたデザイン。 印象的な装丁を残した人であっても、私のような素人の探し方では、なかなか調べが付かない。 「作家」とは違って、本のデザイナーに関しては、なかなか記録が残されていないのだ。
これは、以前S.D.G.関連の話題をまとめた記事からも、感じ取っていただけるのではないだろうか(S.D.G.シリーズ全体の流れは、*リンク修正*で確認できます)。
(この話題にしたって、本当に取り上げたい人についてはまだ調べが進まないし、記事にしますと言ってそのまま放ったらかしになっている始末だ)
そんな中、喜びに踊り出すようなできごとが起こった。昨年2016年の末のことだ。
twitter上で、非情に丁寧なメッセージをいただいた。botという機械的な名前で運用しているにも関わらずたまにメッセージをもらったりすると、それだけで嬉しいものなのだが。
今回は連絡をいただいた、それだけではなく、最後に驚きの一文が記されていたのである。
「私は日下弘先生に装丁を習い、大変御世話になった者です。 先生の作品を持っていませんので、こちらを拝見し、感無量です。ありがとうございます。」
なんということか、本当に装丁家本人を知っている人が、こんなところを見つけてくれ、さらに声をかけてくださったのだ! しかも、当botでも最大数の装丁を紹介させてもらっている、日下弘氏を知る方とは!
「ありがとうございます。」なんて、こちらこそ言うべきお礼ではないか。
本当にこういう連絡が、ある日突然やってくるのだから、twitterは面白い、そしてありがたい。
こうして突然、「日下弘氏の生徒」さんとの出会いが訪れたのだった。
(つづく)
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