佐藤集雨洞の洞穴

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「日下弘氏の経歴をまとめる」 連載日下弘、の前口上(二)

さて、この後の話の前提ともなるので、今回は、日下弘氏の経歴を確認しておくことにしたい。

こういった記録についても、現状ではネット上にはほとんど情報がない。このまま氏に関する記録が埋もれていってしまうのは本当にもったいないことだと思う。

元資料を著わされた方々に感謝するとともに、ここに書くことで、今後興味を持つ人の参考になることを願う。

 


日下弘 経歴】

⇒大学在学中よりウエストミンスター・レコードのジャケットデザインを担当。ブラームスの「クラリネット五重奏曲」はアメリカ本社に採用される。

【参考画像】

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ブラームスクラリネットと弦楽器のための五重奏曲』 レオポルトウラッハ、ウイーン・コンツェルトハウス四重奏団 (日本ウエストミンスターLP) 【佐藤所蔵】

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Brahms: Quintet In B Minor For Clarinet And Strings, Op. 115』 (ウエストミンスター WL-5155の復刻版CD) 【佐藤所蔵】

【注記】 上の画像にあるように、アメリカウエストミンスターのデザインは、日本盤のものがそのまま採用されたのではない。日本盤LPには「HIRO」のサインが認められるが、米盤CDでは同様のサインは見て取ることができない。両者のデザインには共通性があり、そういう意味で「アメリカでも採用」と記されている可能性もある。一方、日本盤のデザインを元に米盤も日下氏がデザインしたとも考えられるが、詳細は不明である。

  • 同56年 アトリエデスカに参加

【注記】 アトリエデスカは、1906年生まれのデザイナー、河野鷹思が設立したデザイン事務所。 以下の引用にもあるように、日下弘は設立からのメンバーだった。

「デスカ・DESKA (DESigners Kono Associates)」 1950年、東京・青山に住まいとアトリエをかまえたデザイナー、河野鷹思(1999年歿)と妻静子が、仲條正義福田繁雄、江嶋任、森下俊彦、日下弘に呼びかけ、59年に会社組織として発足。グラフィックのみならず、プロダクト、ディスプレイ、広告など、多岐に亘るデザインの仕事を手がけた。」

過去の在籍者たちによる展覧会が2006年にひらかれている。

www.deska.jp

上記引用も同箇所から。 enter image description here 会場は河野氏の創設したギャラリー「Gallery 5610」。

  • 1957年 日本宣伝美術会展奨励賞
  • 1958年 日下弘デザイン事務所を、赤坂に設立
  • 同年 東京アート・ディレクターズクラブ銅賞受賞
  • 1959年 東京アート・ディレクターズクラブ銀賞受賞

⇒その後、御茶ノ水美術学院(1956-62)、東京芸術大学(1961-62)、女子美術大学(1964-)、日本エディター・スクール(1966-)、愛知県立芸術大学(1969-)で教鞭を執る


【その他業績の一部】

【※上記の内容は、以下の資料を参考に、湯浅レイ子氏と佐藤が作成したものである】


さて次回は、今回の文章の執筆者を皆さんにご紹介しよう。

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