佐藤集雨洞の洞穴

twitterで「創元推理文庫旧装丁bot」を動かしている佐藤集雨洞のブログ

「S.D.G.、それにまつわる人々」(4)~これまで、どんなふうにわからなかったのか

ようやっと今回から、先に挙げた課題の解答を示していく… 話の流れではおそらく、そういう話が始まるべきところだが、もう少しだけ、話を先に進めるのをお待ちいただきたい。その前に、今シリーズの問題点をさらにはっきりさせるためにも、「これまでの間、どれくらい、この問題についてわからないでいたのか」を書いておきたいからである。

いわば、「今回自分が調べるまではこれだけしかわからなかったんだぞ!」というのをはっきりさせておこうという趣旨であり、筆者の自惚れを際立たせるだけになってしまうと思われるが、どうかご寛恕を乞いたい。

(1)S.D.G.について

oldsogenbotではかなり以前から、S.D.G.の謎について意識をしていた。実際、2年前の時点でこの点が不明であることについては紹介している。

当然、個人的にはこれよりもっと前から気になり、ちょくちょく調べてもいた。しかし、(多くの人にとって、情報調査の最初の選択肢であろう)googleの検索では、どうしてもこのS.D.G.の解説を見つけることはできなかった。

試しに読者の方も、S.D.G.を検索してみてほしい。単純に「S.D.G.」だけの検索ではうまくいかないことは誰にとっても明白かもしれない。しかし、例え他の検索語を追加してみても、なかなか思ったような結論が出てこないことが、実際にやってみればわかるはずだ。

ちなみに、「S.D.G. 創元推理文庫」や、「S.D.G. 装丁」などで検索してしまうと、関連するoldsogenbotのツイートばかりが出てしまう。それだけ、ネット上には、この謎を簡単に解決してくれる情報は存在していないことがわかってもらえるだろう。

ちなみに、ふと「もしかして?」と思いついて探してみた、 www.sdg.co.jp のアドレスは、現在、警備会社のサイトとして使われている。

(2)三人の装丁者について

今シリーズの考察対象である3人の装丁者と同様、同じく創元推理文庫での装丁が目だって多いデザイナーの一人が、日下弘である。

日下弘についても、やはりその経歴が紹介されていなかった状況が長く続いていた。しかし、既に2009年の時点で

『これ、誰がデザインしたの?』 が、(『こっぷ』という、わずかなきっかけを巧みに見つけ出すことで)経歴、そして日下弘の人となりを紹介する記事を執筆してくれた。

blog.excite.co.jphttps://blog.excite.co.jp/dezagen/11451795/

blog.excite.co.jp

個人的に日下弘の装丁に劣ることのないセンスを示していたと考えてきた人たちについて、何もわからないままでいるというのはとてももどかしいものであった。だから、自分がどうにかして、日下弘にとっての『これ、誰がデザインしたの?』にあたる内容を発見したいものだという意識は、ずっと念頭にあった。

実はこのシリーズを書いている時点で、3人それぞれについての『これ、誰がデザインしたの?』を書き切れるという状態にまでは、正直至っていないのだが、その「きっかけ」、つまり日下弘の『こっぷ』に該当するかもしれないものを、発見・紹介することはできる程度にはなった。

今回はそれらを示すことに努め、もしかするとあるかもしれない、より詳細な経歴への呼び水となることを期待して書こうと思う。

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