余は如何にして創元推理文庫(装丁)愛好家となりし乎 その2 微笑むパーカーパイン
前回の投稿では、家にあった創元推理文庫が間接的に、そして学生時代にブックスリパブリック さんを発見したことが直接的に、創元推理文庫との出会いのきっかけだったことを書きました。
この時にとても気に入り、いまでも好きな装丁の筆頭にいる装丁があります。クリスティーの『パーカー・パインの事件簿』です。
『パーカー・パインの事件簿』 アガサ・クリスチィ (カバー:S.D.G. 太田英男/39版 1979) 横顔 創元推理文庫旧装丁bot 東京創元HP⇒ http://bit.ly/1fH3ylH
ブックスリパブリック さんでも紹介中ですね。デザインそのものも非常にクール!と感じたのですが、その中でも、「くわしい画像はこちら」にあるように、表から続いて裏表紙にまで犠牲者の影が描かれているところに、ぐっときた記憶があります。
http://www.booksrepublic.com/sogen20_detail.html
ただ、これを見てからすぐに今のような創元推理文庫収集を始めたわけではありません。というのも、もうこの頃には真鍋さんのデザインに惹かれてハヤカワのクリスティーを集め始めていたからです。まだまだハヤカワでも手に入ってないタイトルが多くあったため、その時点では、「デザインが良いからって創元のも買う余裕はないよな…」と。それが一段落するまでは創元にまで手を出せなかったんですね。
さて、この頃住んでいた家の近くには、多摩地区限定のブックオフ(とは誰も言ってない)、「ブックセンターいとう」がありました。その前からよくこの古本屋には足を運んでいたのですが、ある日、何の気なしに眺めていた本棚で、とうとう出会ってしまいました。
あのパーカーパインがあったのです!パソコン画面では何度も見ていたものの、やはり実物を見るとデザインが良い!
twitterでもちらっと書きましたが、この頃のいとうには旧装丁の創元が、申し訳程度の値段でよく売られていました。だから躊躇せずに「一冊だけなら…」という気持ちで、パーカーパインを購入することができました。
※後から思うと、同じいとう系列の店舗でも、店によってこういう古めの(茶色めの)文庫本の数にはばらつきがありました。そんななかで、生活圏あるいは良く通る道沿いのいとうには茶色い文庫本を良く置いてあったので、幸運だったんだなあと感じます。
その後、創元推理文庫にも、クイーンを始めとして真鍋さんデザインの装丁がかなりの数あることに気付いたり、数多く見かける日下弘さんのデザインがかなりクールであることに気付いたことで、意識して他のいとうの店舗や古本屋でも探すようになっていきました。
このへんで、自分にとっての「収集へのしきい値」が突破され、その後はどしどし集めるようになった気がします。でも、この時点ではまさかこの「旧式の装丁」だけを取り上げた本が出ているとか、市場に出れば、文庫本なのに万を超えた値段が付く本もあるなんて事は知らずにいました。
「創元の装丁に目を付けて本を集めてる人なんていないんだろうな」、くらいに気軽に考えていましたっけ…
続きは次回に!
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