佐藤集雨洞の洞穴

twitterで「創元推理文庫旧装丁bot」を動かしている佐藤集雨洞のブログ

「S.D.G.と、それにまつわる人々」(5) 最初の調査:レファレンスサービスという手段を使う

では、ここまでの前段を一応確認してもらえたという前提で、実際の調査がどう進んだかを今回から(やっと、という形になってしまったが、)書き進めていこう。

前回書いたように、テーマとする「S.D.G.」、そして装画者たちのことは、ネット調査ではきっかけを見つけることができずにいた。そこで、何度か頼ったことのある図書館での調査、いわゆる「レファレンスサービス」を利用してみることにした。

 

これまでの経験上、この手法は、調査したい分野について知らなければ知らないほど、最小の労力で有益な情報をつかめる公算がでかい。しかも、図書館のサービスだから基本的に無償でやってもらえるので、読者の皆さんも是非活用してください。

さて、筆者が向かったのは、春からの生活拠点にほど近い、熊本県立図書館。改装作業などを経て、4月から再開された図書館だ。 (※個人的には改装前にあった館内の喫茶・レストランが閉鎖されたのが残念。ここは図書館としてはあまり無かっただろう、「ザ・喫茶店」という雰囲気を持つ空間だっただけに。ちなみに、カフェ・デルラーゴという名前だったようだ)

今日は何かあったかな? 「カフェ デル ラーゴ」

 

2ScreenClip

この時、すこしポイントを絞るために、「S.D.G.」と「太田英男」の2点だけを質問することに決めていた。

レファレンスサービスでは、「そこまで自分がどういう事を調べて、どういうところまでつかんだのかを伝えておく」これが(二度手間を避けることにもなり)重要なので、なるべくここまでの経過を詳しく伝えた。具体的には、直接「パーカー・パインの事件簿(以前の記事参照)」を持参して、「ここにこういうふうに書いてある、S.D.G.というのが何か知りたい」「それと、S.D.G.と併記されることが多い、この太田英男さん自身についてもほとんどわかっていないので調べたい」、こういうふうに訴えた。

図書館ともなると、いろいろなテーマでの調査に携わったこともあるだろうし、筆者が詳しくない、デザイナーや画家等、芸術家名鑑などの調査方法などを提案してくれるかな?と期待していた。

その日は、やはりネット調査を少しした上で、
「それではここから少し時間をかけて調べてみますので、調査結果が出たら連絡します」ということになった。どうやら、芸術家のwho's whoのようなものでさくっと調べが付く、と言う安易な結果にはならなそうだ。(そもそもS.D.G.については、そういうものが例えあったとしても掲載されている公算はかなり低くはある。)

 

数日後、図書館からの連絡がきた。期待を込めて通話ボタンを押す…

すぐに、「図書館の資料ではほとんど探しようが無く、調査そのものはすぐ終了となった」と伝えられた。

そうかあ、何にも得るところは無かったか、それだけニッチな調査なんだなあ…と落胆したが、どうも、電話の向こうの係員さんは、それで会話を終えようという気配が無い。

「ん?」と思っていると、続いて、「そこで東京創元社に問い合わせをしてみました。」と言うではないか。

(つづく)

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