佐藤集雨洞の洞穴

twitterで「創元推理文庫旧装丁bot」を動かしている佐藤集雨洞のブログ

二色刷りから単色へ、そしてその例外

(以下は、2017/5/22にツイートした内容の再掲です)


創元推理文庫の分類マークは、1991年にその役目を終えた。『東京創元社文庫解説総目録』にもそう書いてある。そして、おそらく時を同じくして、カバーを外した本体の印刷も、二色刷から茶色単色刷に変更されたのだろう。

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(私は最近になって初めて、この変化に気付いた)

「おそらく時を同じくして」というのは理由がある。所蔵する本を全部確認し終えたわけではないのだが、気になる時期のものを見ると、「マーク有り=二色」「マーク無し(新)=単色」というのがたいてい成り立っているのだ。

しかし、何事にも例外はつきもの。

この『21のアルレー』は違った。1992年11月発行(6版)でありながら、カバーには猫マーク、そして本体も二色刷りなのだ!

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二色刷りになっているから、「新しい本に古いカバーを付けた」のではないことがわかる。 IMG_4503

ただ、この奥付から分かるように、このタイトルの初版発行は1985年だ。

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1991年、つまり新刊のデザインを新体制に変更した後も、それ以前に出版したタイトルを増刷する際には、カバーも、そして二色刷りの本体も、元々のデザインを保ったままだったということなのだろう。

600冊弱となった私の手元の「分類マークのある創元推理文庫」の中で、この『21のアルレー』が、今のところ最新のものである。と言っても、もう25年前のものなのだが。

この時期の創元推理文庫、カバーを外して本体の色も見てみて下さい。

「本体は二色刷りなのにカバーには分類マークが付いていない」あるいは「1991年以前の発行なのにもう本体が一色刷になってる」なんてのが見つかったら面白いですね。


【追記】 上記をツイートした後、「二色刷り⇒単色刷り」について、既に素天堂氏が同様の指摘をされていた旨、ご本人からご紹介いただいた。

d.hatena.ne.jp

この中で、1991年再版の『魔術ミステリ傑作選』はまだ二色刷り、1992年発行の『犬博物館の外で』が単色刷りになっていると指摘されており、執筆者の素天堂氏も「切り替えの時期はこんなところだろうか」と記されている。

素天堂さま、記事のご紹介、ありがとうございました。

【リンク】

素天堂さんのtwitter https://twitter.com/kliocity

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