追跡、S.D.G.! (4)S.D.G.はその後、どうなったのか?
ここまでわかってくると、次に気になるのが、「じゃあS.D.G.は今、どうなっているのか?」という点である。
前記事で紹介した鈴木氏のエッセイには、「手塩にかけたわがエスデージーから離れてはや10年余。」と書かれており、2000年頃、エッセイの執筆時点では、別の代表のもと、S.D.G.が運営されていたことがわかる。
しかし、である。
これまでもgoogle検索で「S.D.G.」や「SDG」は検索していたし、今回明らかになった「エスデージー」という読み方で検索しても、結果は芳しくない。今も活動している気配が、まるで感じられないのだ。
ちなみに、一番あり得そうな「 www.sdg.co.jp 」というアドレスを入れてみると、全く関係ない、警備会社のサイトに飛んでしまう。
八方ふさがりだ。
しかし、である。
ここで諦めてはもったいない。
…これまで見つけた資料の内容から、S.D.G.は、株式会社として運営されていたことがわかっている。 …株式会社、つまり法人であるからには、必ず、商業登記をしなければいけないはずだ。 …つまり、現在S.D.G.がどうなっているかは、登記を調べれば良いのではないか?
こう思いたち、法務局や関係するサイトを利用して、「株式会社エスデージー」の商業登記を調査することにした。
(実際の手続きはなかなか面倒な部分もあったが、それでもほぼ自宅に居ながらにして、かなり昔の商業登記簿を入手できるのだから、便利な世の中になったものだ)
「株式会社エスデージー」の情報は、、、やはり予想通り。登記簿上の記録が残っていた!
登記情報からわかったのは、以下のような内容であった。箇条書きにしてまとめよう。
(なお、移転が原因で登記所の管轄内にもう存在しない会社については、年数が経つとその登記簿(閉鎖登記簿)を登記所が処分してしまうこともある。しかし幸運なことに、今回調査したS.D.G.については、その設立から解散までを登記上でたどり続けることができた。)
「株式会社エスデージーの変遷」
①1964(昭和39)4月 新宿区坂町にて設立
※登記簿上は「株式会社エスデージー」となっている
※エッセイに書かれていた、鈴木氏の出身地「新宿区塩町」(現在は「新宿区本塩町」)の隣が、新宿区坂町である。
②1965(昭和40)8月 千代田区三番町に移転 ※この時点で、登記簿上の社名が「株式会社エス、デー、ジー」となった
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③1985(昭和60)12月 同地にあった「情報空間設計事務所」「エス・デー・ジーグラフィックス」「エスデージーインターナショナル」「エスデージークリエイティブ」を合併
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⑥2000(平成12)5月 港区三田に移転
⑦2007(平成19)3月 会社名が「株式会社エス、デー、ジー」から「株式会社エスデージー」に変更される(元に戻ったことになる)
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⑧2010(平成22)5月 会社解散
そうなのだ。
登記簿が見つかったと喜んだのもつかの間。 S.D.G.の発見と同時に、近年になって会社が解散していたことも明らかとなってしまったのだ。
道理で、いくらS.D.G.の名称を検索しても、デザイン関連会社の情報らしきものが、出てこないはずである。
「解散」という結論と共に、S.D.G.の調査は、ここにやり尽くしてしまったようだ。
…しかし、である。
会社の解散が2010年。 それまでは活動していたと言うことは、その最後の時期くらいは、「株式会社エスデージー」もサイトを運営していたのではないだろうか?
こんな予想を立てて、筆者はもう一つだけ調べを進めることにした。
インターネット上には、「過去、そのサイトがどのような状態だったか」を記録しているinternet archiveというサービスがあることをご存知だろうか。 https://archive.org/index.php
このサービスを使うと、もしかして「過去のエスデージーのサイト」が見つかるのではないか?と検索したのである。
ビンゴ!
やはり、(デザイン会社の)株式会社エスデージーも、過去にはサイトを持っていたのである。
その内容は https://web.archive.org/web/20080517011017/http://www.sdg.co.jp/index.html や https://web.archive.org/web/20090603190817/http://www.sdg.co.jp/ からたどることができる。
ここに残された内容からは次のような点を読み取ることができた。
- 会社の業務内容は、創元推理文庫に関わっていた当時とは異なり、現代的になっていたこと (webデザインやイベント運営が含まれている)
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パソコン関係で目にしたことのあるシンボルマークが、株式会社エスデージーによるデザインだったこと (例えば、次のロゴマークは株式会社エスデージーが作成を担当したことが記されている)
こうしてみると、かなり最近まで、大きな仕事をこなしていたことになる。
そうした業績を積んだ後、2010年に株式会社エスデージーは解散したのだ。
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